乳房は女性の象徴
妻の乳がんは右側にあり、大きさが2センチ以上あるため、右乳房の全部摘出切除は確実に決まっていました。
その後、切除した胸をそのままにしておくのか、乳房のかたちをつくる手術(乳房再建)をするのか、ということになるのですが、今回の出来事が起こるずっと何年も前、「もし乳がんになっても再建なんかしなくてもいいわ、胸なんて邪魔やし、むしろスッキリすると思う」と妻は言っていましたが、クリニックで乳がんの告知をされ、全摘であることを告げられた時に「えーっ!」と声をあげたらしいので、なんだかんだ言ってても、やはり女性にとって乳房というのは大切なものなんだなと思いました。
長年あったものが、いざ無くなると、そりゃ寂しいものだと思います。
そのような経緯もあって、妻は乳房再建をすることになったのですが、ここでまた選択を迫られます。
- 1)自家移植か、シリコンインプラントか
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自家移植のメリットは、感染リスクが低く、術後に安定すれば、その後のメンテナンスフリーであること。
デメリットは、背中あるいは腹部に大きな傷跡が残ること。
シリコンインプラントのメリットは、乳房以外に傷をつけずに済むこと。
デメリットは、感染リスクが自家移植より高く、体内で破裂する恐れもあるので、術後のメンテナンスがずっと必要になってくること。
もし破裂や感染した場合は、シリコンインプラントを摘出しなければなりません。
そして、特に問題が起こらなかったとしても、10年後に入れ替える必要が出てくる可能性があるらしいのですが、40年近く前にシリコンインプラントで乳房再建した義母は、「入れ替えとらんよぉ。そのまんま」
と言ってました。
どこかに書いてあった入れ替える可能性の確率は35%ほどとのこと。
あと、健常側の乳房との形のバランスを取りづらい場合があること。
- 2)乳房切除と同日再建か、後日再建か
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シリコンインプラントの場合は、乳房切除と同日にエキスパンダーという徐々に膨らませて大きくする風船のようなものを摘出部位に留置し、後日にシリコンを挿入するため2回手術が必要になってきます。
しかし、自家移植の場合は、乳房切除した同日に移植手術ができるので、1回の手術で済ませることも可能です。
全身麻酔での手術は「眠っている間に手術が終わるのでラクだろう」考えがちですが、大学病院で口腔外科に2年ほどいたときに、全身麻酔で手術する患者さんをみた経験から言うと、みなさん全身麻酔から醒める瞬間がとても苦しそうだったので、あまり何度も妻に手術させたくないというのが僕の本心でした。
自家移植による乳房再建術
乳房の自家移植による再建方法には2通りあるようです。
乳房が大きい場合はお腹の筋肉や脂肪を移植して再建する方法で、乳房が小さい場合は背中の筋肉、脂肪を移植して再建します。
私の妻の乳房はそれほど大きくないので、自家移植をするとしたら、背中の筋肉を使う広背筋皮弁という方法になるようです。
シリコンインプラントによる乳房再建術
シリコンインプラントによる乳房再建は、自家移植のように他の部位を傷つけることもなく、手術時間も短くて済むので、体への負担が少ないのがメリットです。
しかし、その後に起こる可能性があるデメリットを考えると躊躇してしまいます。
とりあえず出した結論
いろいろ調べて妻に説明し、主治医の先生や友人のお医者さんに相談した結果、広背筋皮弁による乳房再建を、切除手術と同日に行うということを、この時点では選択しました。
形成外科の主治医の先生は、「手術まで一ヶ月半あるので、その間にゆっくりと考えてもらって結構です」と言ってくださったので、この間に乳がんの手術をした友人たちなどの話も聞いてみようと考えていました。
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